Case対応事例
「老老介護」に伴う相続手続きの取り組み事例|軽い認知症を患う妻を介護していたAさんが先に亡くなって…
・被相続人:Aさん(70代男性) ・相続人:Bさん(70代女性・Aさんの妻)、Cさん(30代男性・Aさんの長男) ・相談者:Cさん |
Aさんは長きにわたって働いていた会社を定年退職後、妻のBさんと旅行に行くなどリタイア生活を満喫されていました。子どもはすでに成人し巣立っていたため、家では2人暮らし。
ただ1年ほど前からBさんの調子が悪くなってしまいます。医師の診断は、事理弁識能力が不十分とまではいかないが軽度の認知症との結果でした。Aさんはこれまで支えてくれたBさんを、今度は自分が支えるのだと決めて、家のことを何でもできるようになっていきます。
そんな生活が半年ほど続いた最中、急にAさんが倒れて亡くなってしまうのです。家のことを全部任せていたBさんは、わからないことだらけ。遠くに住む長男のCさんがかけつけて、財産についての調査が行われました。
するとAさんの通帳に証券会社から定期的な振込があることに気が付きます。Bさんにこの件を確認しましたが、わからないとの返事でした。通帳に記されている振込元の情報を元に問い合わせをしてみましたが、その情報だけではAさんの財産についてたどり着くことはできませんでした。
そこでCさんから当事務所に連絡が入り、相続手続きに取り組むことになりました。
通帳に書かれている証券会社名だけでは、財産の詳細情報にたどり着くことは難しいのでしょうか?
通帳に書かれている会社名だけで情報にたどり着くのは難しい場合が多いでしょう。証券会社側も個人情報保護の観点などから情報を開示するリスクもあるので、慎重にならざるを得ない理由があります。弁護士の場合、弁護士法第23条照会を行う選択肢もあるでしょうが、行政書士にはその手段がとれません。
ただ、銀行員時代の私の経験から、先方が証券会社名だけでも情報にたどり着く方法を持っているのを知っていたので、別のアプローチをすれば大丈夫だと考えました。
別のアプローチとはどういうものですか?
法にもとづくか準用するかして金融機関への情報開示請求を行うアプローチです。本案件では、依頼者からの情報をもとに書類を作成し、実際に情報開示請求を行いました。後日、先方から封書が届き、その中にはAさんの財産情報を得るために必要な書類が入っていました。
そちらの書類に必要事項を記入し、送付したところAさんの財産の情報を得ることが出来ました。
それはCさんからも喜ばれたのではないですか?
とても喜ばれました。というのもその証券会社にあったAさんの財産は、それなりの額だったんです。この情報がわからないまま相続手続きを進めていたら、やっかいなことになっていたかもしれません。
手続きを終えたあとにその財産の存在が分かれば、分割協議のやり直しや、相続税に関し延滞税や無申告加算税を支払わないといけなかったでしょう。
無用な支払いをすることなく、相続手続きを終えることができたのでCさんからは感謝の言葉を頂きました。