対応事例
「亡き夫の口座が凍結。帰化前の戸籍が取れない」というBさんの悩みを、元銀行員の知見で解決に導きました
金融機関から「帰化前の戸籍が必要」と断られ、預金が塩漬けになりかけた事案
| ・相談者:Bさん(女性) |
夫を亡くしたBさんは、預貯金の解約手続きのために金融機関の窓口へ向かいました。お二人にお子様はおらず、相続人はBさんと夫の兄弟姉妹です。しかし、夫は外国から帰化していたため、金融機関から「帰化前の母国の戸籍を集めて翻訳して提出するように」と求められてしまいました。専門家に相談しても解決の糸口が見えず、あわや預金が引き出せない「塩漬け」になりそうな状況のなか、当事務所へご相談に来られました。
「帰化前の戸籍」はなぜ必要なのですか?
相続手続きでは、亡くなった方の出生から死亡までのすべての戸籍を揃え、「誰が法定相続人なのか」を確定させる必要があります。日本国籍を取得(帰化)された方の場合、原則は日本の相続法にもとづき処理されることから、帰化する前の身分関係を確認するため、母国の公的証明書(公証人作成の宣誓供述書等)の提出を求められるのが原則です。台湾や韓国など戸籍制度を有する(有した)国からの帰化者については、現地の戸籍の提出を求められます。
母国の戸籍を集めることはできなかったのですか?
本件では、故人の故国が戸籍制度を有する(有した)国であったため、当事務所から現地の専門家(弁護士等)を通じて調査を行いました。しかし、夫は戦後の混乱期において母国で「無国籍状態」となっていた時期があることが判明しました。これ以上さかのぼって親族関係を公的に証明するには相当な困難が伴うことが予想され、仮に現時点で母国に親族がいるかを徹底調査しようとすれば、それだけで数十万円以上の多大な費用がかかることが分かりました。対象となる預金残高に対して、費用倒れになるリスクもあり現実的ではありませんでした。
証明できない場合、預金はどうなってしまうのですか?
相続手続きにおいて金融機関は、「いったん相続人に解約預貯金を支払った後、別の相続人が現れて支払いを求められる(二重払いになる)リスク」を恐れます。そのため、相続人を金融機関が満足できるように確定できなければ、支払いを拒否されることが通常です。金融機関が満足できるよう立証できない限り手続きを突っぱねられることとなり、実質的に預金が引き出せない「塩漬け」状態になる可能性が高いといえます。実際に、Bさんも半ば諦めかけていらっしゃいました。
どのようにして金融機関を説得し、払い戻しを実現したのですか?
当事務所の代表は元銀行員です。そのため、「どうすれば金融機関に協力してもらえるか。仮に協力してもらえるとしても、組織対応として稟議手続きをふまえたうえで本部や上層部に掛け合い決裁を得ない限り特例対応は難しい。では、本件の担当者が本部への稟議を通しやすくするためにはどのようなシナリオを提案し、資料を提供すればよいのか」という金融機関側の内情や心理を熟知しています。
窓口で強硬に「なんとかしろ」と要求するのではなく、「どういうところへどのように調査し、どこまで調査を尽くしたか」「これ以上の調査が不可能である客観的理由(無国籍状態であったこと等)」を時系列でまとめた詳細なレポートを作成し、ご依頼者を通じて金融機関へ提出しました。銀行員からすれば、客観的な調査レポートが添付されている方が、「やむを得ない事情」ととらえる背景を本部へ説明しやすくなるからです。そのうえで二重払いリスクに対する保全策の意見具申も行いました。
レポートを提出した結果、どうなりましたか?
詳細な調査報告に基づき、金融機関の担当者や本部も事情をよく理解してくれました。結果的に、日本国内で判明している相続人全員のご署名と実印での捺印、印鑑証明書を提出することを条件に特例として決裁が下り、無事に預貯金の解約手続きを完了させることができました。
もし、生前に遺言書があったら結果は違いましたか?
全く違いました。仮に「全財産を妻に相続させる。遺言執行者を妻に指定する」という遺言書があれば、そもそも法定相続人を確定するための複雑な戸籍収集が原則不要になり、スムーズに解約できていたはずです。外国から帰化された方にとって、遺言書は残されたご家族の苦労をなくす重要な命綱となります。
専門家に依頼しても、同じような結果にはならないのですね
当事務所は、元銀行員としての実務経験を活かし、見方をかえて金融機関側の論理を推測しながら業務進捗を図ることを得意としています。他の専門家や金融機関から「無理だ」と断られたり、手続きが行き詰まってしまった案件でも、視点をかえることで解決への道筋を見つけ出すことができるかもしれません。親身になってサポートいたしますので、お困りの際はぜひご相談ください。



